20年選手である研究室の API2000、大学に持ってきて 5 年間ターボポンプすら止まらないという安定稼働記録を更新していたのですが、
今年度に入って学生から感度が落ちました、との報告が続いて検出器電圧を上げる羽目に。(でも 5 年間検出器電圧すら上げずに使えていました)さすがに、 3000 V 近くなってきたのでもう限界かも、ということで検出器の交換を検討していました。

質量分析計ではイオンを電気信号に変換・増幅して PC に伝えているワケですが、それを担うのは大抵の場合 Electron Multiplier Detector です。装置メーカーさんも全て自前で作っている訳ではなく、検出器は検出器メーカーのものを載せています。API2000 の場合、SCIENTIFIC INSTRUMENT SERVICE というところの ETP 14610 を使っています。このメーカーさん、API2000 だけでなく他の古い機種までまだ対応の検出器を作っているようです。通販もしてくれそうな勢いですが、一応国内の販売店を探すと、国内のトムシックさんが SIS の販売店をされているようです。トムシックさん、以前にも GCMS のフィラメントリペアでもお世話になっております。

発注して一ヶ月ちょっとで納品になりました。以前は専用の青いタッパーに入っていたのですが、今は普通に紙の箱でしたね。30 万円くらい。

四つの金色の穴が空いていて、本体の電極をその穴に突き刺して固定するようです。外す時は上部の金属部分を持ち上げて引き抜くしかありません。まあ、再利用はしないので触ってもいいかな。

本体後部のこの中に横向きに入って四重極から出てくるイオンを迎え撃つという感じ。四つのビスを外して、この箱ごと取り外します。黄色いシール面を下にして置き、ETP を引きずり出します。あとは、同じ向きに新しい ETP を長い工具で押し込みます。後は真空引きして、うごくかどうか・・・

以前、交換していただいた時不良品だったのか、埃がはいったのかすごく大きなノイズが入ることがありましたが、今回は無事スペクトルが得られました。検出器電圧も 1700 V くらいでよいシグナルがでている。これで後 10 年は働けるね!